事例紹介

問題解決ワークショップ

株式会社ウチダ人材開発センタ様/SCSK株式会社様

2023.02.23

株式会社ウチダ人材開発センタ様のワークショップに当社は講師として参画いたしました。

本記事は株式会社ウチダ人材開発センタ様のホームページより許可を得て転載しております。
転載元:https://www.uhd.co.jp/training/case/scsk.html

お客様との「価値共創型ビジネス」実現に向け、
進化を続ける「分室革新サービスマネージャ実践ワークショップ」

これまで築き上げてきた常駐支援型のビジネスから、お客様のビジネス、IT戦略を支える価値共創型へ転換するために全国500拠点を超える分室の革新に乗り出したSCSK株式会社様。その分室革新の中核を担う「分室革新サービスマネージャ実践ワークショップ」。2021年から開始した本ワークショップについて、担当者の皆様から、導入の背景や運営にあたっての苦労、ワークショップを導入した結果表れてきた効果、そして、今後の戦略についてお聞きしました。

※分室とは、お客様先オフィスでの常駐業務を中心とした組織ユニットです。お客様の環境や要望にあわせた独自のチームを編成し、それぞれのチームごとにシステムの開発・保守・運用といった顧客業務の支援を通じて、さまざまなサービスの提供を実施されています。

梅田 和敬様 事業革新推進グループ SE+センター 事業高度化推進部 部長
玉井 康晴様 事業革新推進グループ SE+センター 事業高度化推進部 事業高度化推進課 課長
荒井 清和様 事業革新推進グループ SE+センター 事業高度化推進部 事業高度化推進課
牧野 純也様 人材開発本部 専門性評価推進部
インタビュアー 株式会社ウチダ人材開発センタ 石井 真志子様

ワークショプ講師 株式会社コミットメンツ 代表取締役社長 羽方 康

企業としてさらなる飛躍のために必要だった分室革新

石井様
まず「分室革新サービスマネージャ実践ワークショップ」を導入するにあたっての背景を教えていただけますか。

事業革新推進グループ SE+センター
事業高度化推進部 部長 梅田様

梅田様
当社の事業計画では現在、事業革新が大きなミッションとなっています。その事業革新の中で、我々が注力しているのが「分室革新」です。全国に500拠点を越える分室を、従来の「業務支援型」からお客様の新たな価値の実現に貢献する「価値共創型」への転換を目指しています。具体的には、お客様の経営層や組織リーダー層との接点を担う社員を“サービスマネージャ”と位置づけ、課題や悩み事に対し、A)共創の場づくり、B)提案・情報提供、C)内製化支援などから、お客様との関係性の強化とビジネス貢献を行う、という取り組みです。このワークショップは、将来サービスマネージャとなる社員に対して「分室革新」に必要となる、考え方やアプローチ手法を実践形式で身に付けてもらうために導入しました。

荒井様
我々の分室はお客様から言われたことをきちんとやる、支援するというやり方はとても得意なのですが、それだけでは今後お客様の要望に応えられない。お客様が本当に望んでいることは何なのか、本当の課題は何なのかを把握してから提案をする必要があるのではないかと感じていました。

牧野様
社内的にもエンジニアはもっとお客様に寄り添った対応ができなければ、今後はビジネスとして立ち行かなくなるという危機感がありましたね。

玉井様
私も分室経験者なので、手詰まり感やもう一歩先に行かないといけないのに踏み出せない、そんなもどかしさを直に感じていました。感じてはいたけれど「自分達だけで解決するのは難しいな」と悶々としていたのです。社内で皆さんと議論する中で、自分の課題認識は、メンバー全員も共通の認識だったと改めて感じました。

石井様
本プログラムを選んでいただいたきっかけを教えてください。

牧野様
ウチダ人材開発センタの石井さんとは以前から付き合いがあったわけですが、分室革新に関わることになったという話をしたときに、「それでしたら、お役に立てる研修がありますよ!」とすぐにご提案していただきました。同時にぜひ紹介したい講師がいるからと、羽方さんとお会いする機会を作っていただきました。羽方さんの経歴や講師としての印象がとても良かったのでお願いしてみようかと思いました。

事業革新推進グループ SE+センター
事業高度化推進部 事業高度化推進課
課長 玉井様

石井様
羽方さんの特にどんなところが良かったのですか?

牧野様
「常駐SE」「ITコンサル」「エンジニアをマネジメントする立場」を全て経験されていて、「エンジニアの特性」をちゃんと理解されているなと感じました。そんな方はなかなかいらっしゃらないですからね。

こんなやりがいのあるワークショップは人生初

石井様
本日は今お話がありました講師の羽方さんにも参加していただいています。このワークショップを担当するにあたって特に気をつけている点やこだわっている点があれば教えてください。

ワークショプ講師 株式会社コミットメンツ
代表取締役社長 羽方

羽方
受講者がふだんは考えないようなこと。考えても実際には行動に移さないことにあえてチャレンジしてもらっています。人間の思考回路はどうしてもパターン化してしまいますからね。新たな観点で考えることができれば、それだけ対応の幅が広がります。分室の方々は本当に真面目でお客様からの信頼も厚いのですが、「本当にそれでいいのか?本当はどうすべきか?」と問いかけるようにしています。

石井様
ワークショップを行うにあたって、苦労されている点はありますか?

羽方
毎日が苦労の連続です。(一同笑) 受講者の方にきちんと伝わっているのか、どうすればもっと伝わるのか、どうすれば行動が変わってくれるのか。試行錯誤がワークショップ開始時よりずっと続いています。それにSCSKの事務局の皆さん、このワークショップに関わっている方々の、受講者の成長を願う熱量は凄いですから。日々いろいろなアイデアや意見をいただいておりますし、トライ&エラーの繰り返しですね。これはオーバーに聞こえるかも知れませんが、こんなにやりがいのあるワークショップをやらせてもらうのは人生で初めてだと感じています。

常に進化し続けるワークショップ

石井様
三年前、最初に実施したワークショップから、何回内容を変更したのか分からないですよね。細かなアレンジまで含めるとそれこそ毎回変えているように思います。

荒井様
もともとこの研修は「サービスマネージャ育成研修応用編」という名前だったのですが、研修という言葉を取り、実践ワークショップという名前に変えました。それは研修の中で扱う題材が、一人ひとりの受講者の実際のビジネスそのものになっているからです。最初だけ全受講者共有の座学はありますが、その後は、受講者のお客様、受講者の分室そのものに対して、学んだことを実践していきます。リアルなビジネスの現場に直結していますから、研修という名前はそぐわないとなったのです。受講者が直面している課題は一人ひとりまったく違います。ですから受講者一人ひとりに対してまったく別の対応、アレンジをしている感覚ですね。

牧野様
お客様は生ものだなと感じますね。日々要望も状況も変化していきますから、カリキュラムも都度変えていく必要があります。羽方さんには受講者一人ひとりに対して細かな対応をしていただいていて感謝しています。

事業革新推進グループ SE+センター
事業高度化推進部 事業高度化推進課 荒井様

梅田様
常にカリキュラムが進化するワークショップなんて見たことがありませんよ。本当にすごいと思います。

羽方
牧野さんがおっしゃるように、お客様は生ものですから毎回状況が変わります。そのたびにSCSKの皆さんが凄い熱量と時間をかけてフォローしてくださいますし、アイデアをどんどん出していただけるので、私一人で悩むことはなくて、ありがたいですね。

リアルなお客様を対象とした真剣勝負の場

石井様
「分室革新サービスマネージャ実践ワークショップ」を運営するにあたって、企画側、運営側としての関わり方や工夫されているところ、また苦労している点などがあれば教えてください。

牧野様
このワークショップでは実際のお客様にインタビューを行います。インタビューを通じてお客様の「ありたい姿」の策定に着手するわけですが、ここからはリアルなビジネスの世界に足を踏み入れます。お客様の事業戦略やIT戦略の状況、お客様と弊社の関係性、受講者の所属部署の方針など、受講者のおかれている個別の状況を正しく把握しながら、羽方さんと上手く連携してアドバイスするように心掛けています。また私は、社員のスキル評価制度の運営にも携わっています。このワークショップを通して、受講者の実務実態や強化すべきスキルを直接、把握することができるので、スキル評価制度の見直しや新たな育成施策検討へフィードバックするように意識しています。

梅田様
このワークショップは実践形式なのでお客様の反応がダイレクトに返ってきます。一つひとつのプロジェクトに対して細心の注意を払う必要がありますから、そこが苦労といえば苦労ですね。

玉井様
お客様の状況もありますから、受講者のチャレンジする意欲をただ後押しするだけではお客様に迷惑をかけてしまうことがあるかも知れません。そのあたりのバランスをいつも考慮しています。

荒井様
通常の研修なら正しいことも、お客様の状況はまちまちなのでケースバイケースの対応が求められますよね。

オンラインで実施した「分室革新サービスマネージャ実践ワークショップ」の様子

お客様にも良い影響を与えている、当初は想定していなかった効果も

石井様
「分室革新サービスマネージャ実践ワークショップ 」の受講者は、延べ約150名となりますが、どのような声や反響、そして行動の変化がありましたか?

人材開発本部 専門性評価推進部 牧野様

梅田様
お客様の中長期的な戦略や方針である「ありたい姿」を起点にするアプローチに関して、その重要性を実感したという声が多くありました。ワークショップやその後の活動を分室内のメンバーに展開することで、社員の日々の業務への意識が高まってきていますね。より組織的な活動を志向し、同じお客様を担当する他のメンバーを受講させる部署もあり、現場のビジネスにとって重視されてきていると感じています。

牧野様
受講者にとっていろいろな気づきがあったというのは大きなところだと思います。また、受講者のアンケートを読んでいると、SCSK側の意識が変わることによってお客様自身も変わってきたという感想が多々あります。社内の意識改革、行動改革だけではなくて、お客様にも良い影響を与えている。これは当初想定していなかった嬉しい発見です。

梅田様
お客様の方から「相談したいことがある」と積極的にお声がけを頂くことが増えました。これは今までになかった動きだと思います。

玉井様
これまでは「決まったことにきちんと対応する。」「困ったことがあればすぐに相談にのり解決する。」 そういうスタンスでした。今は「より中長期的な視点で一緒に考えていくというスタイル」に変化してきています。お客様には、これまでとは違ったコミュニケーションが増え、問題解決のための相談ができるようになったと感じていただいているようです。

荒井様
我々のことを、同じ視点で見て考えてくれる、本音で相談できる同じ仲間として認めてくださるお客様が増えてきたように思います。

分室革新のすそ野を広げるプログラムもスタート
さらに新たな上位プログラムも検討中

石井様
分室革新、サービスマネージャ育成に関連した今後の取り組みについて教えてください。

梅田様
2022年度よりはサービスマネージャをサポートする分室メンバーとラインメンバーの約2,800名を対象とした「分室革新ベース講座」という新たなプログラムを推進しています。これは分室革新の理解と顧客との関係性を変えることへの理解を目的としており、分室革新のすそ野をさらに広げるためのプログラムです。分室革新ベース講座に関しては、実は営業職なども一部受講しており、有用なプログラムであると評価してもらっています。ですから分室メンバーとラインメンバー以外にも、分室革新の浸透と理解を目的に、さらに裾野を広げたプログラムに発展させていってもよいのではないかと思っています。また、「分室革新サービスマネージャ実践ワークショップ」を終了した受講者にも、サービスマネージャ活動がさらに進化するような上位プログラムが必要だと考えていますので、来期に向けて検討しております。

インタビュアー 株式会社ウチダ人材開発センタ 石井様

牧野様
今は分室革新という枠の中でやっていることなので、分室以外の社員は関係ないと感じている人も多いようです。分室革新という枠をはずして、例えば、顧客接点の革新というような位置づけに発展できれば営業メンバーも参加できるようになります。お客様と接する社員はみんなこのワークショップの考え方を学んでほしいですね。そうすれば行動が変化し、ビジネスの領域もさらに広がると思います。

玉井様
受講者たちの話を聞いていると、まわりのメンバーや部下を巻き込んで活動できている人もいれば、受講した本人は理解したけれど、まわりのメンバーを巻き込むことに苦戦している人もいて、そこは課題かなと思っています。また、お客様のありたい姿を想定して一緒に具体化していくという新しいアプローチは、やり慣れていないだけにとまどいを感じている受講者もいるようで、この二つの課題を克服することがこのワークショップを実践でもっと活かしていくためには必要なことかなと思います。

荒井様
ベース講座を社員全員に受講してもらうのは難しいと思いますが、開発に携わっている社員や営業職の社員にはぜひ受講してもらいたいですね。この活動は、同じ目線でチームとしてしっかりスクラムを組んで取り組んでいくことが大切だと特に感じています。

羽方
そうですね。分室のメンバーとその上長の方々、そして営業の方との理想的な連携のあり方を模索し、組織としてお客様に価値提供するというスタイルを、今後のプログラムに取り入れることができればと願っています。分室の方々の圧倒的なアドバンテージは、お客様からの厚い信頼を得ていることだと思います。営業の方の提案活動に、お客様を一番理解している立場として分室の方が加わるような連携が確立されれば、さらに効果的な提案になるのではないかと思います。

石井様
すそ野を広げるベース講座を中心とした活動と、分室革新をさらに進める上位プログラムの検討が今後の柱となりますでしょうか。

梅田様
そうですね。そのためにもこれまでと同様に石井さんや羽方さんから、どんどんアドバイスをいただければと思います。大いに期待しておりますので今後ともよろしくお願いいたします。

PAGETOP