部下が育たない原因 その1

最近、部下育成の研修機会が増えています。
OJT指導者研修や、部下のパフォーマンスを引き出す研修、そして3年目ぐらいの若手をどのように指導育成するかという研修などなど…

部下育成に関しては、思うところがいくつもありますが、最近一番強く感じていることについて書いてみます。

部下が育たない原因は何か?

最近良く考えるのは、
「部下が育たないのは、僕ら上司に原因があるのではないか?」
という可能性です。

「仕事に慣れるのが遅い」、
「同じミスを繰り返す」、
「指示をしないと動かない」
など、現象だけ見れば問題は部下にあると考えたくなることもあるでしょう。

ただ、中には
「部下が『自分の期待どおりに』育っていない」
ことに落胆している方もいるのではないでしょうか?

この「期待」という言葉に込められている意図が、なかなか厄介です。
人によっては、
「自分と同じように考え、同じような結論に至る部下」
になることを期待しているのかもしれません。

こうなると、部下を見る眼は厳しくなってしまいます。
部下の仕事ぶりを評価する基準が、
「自分の思考プロセス」や
「自分の描く成果物イメージ」
になってしまうからです。
かなり主観的な判断基準ですよね。

私たちは、多くの場合
「自分の考えていることは正しい」
と思い込んでしまいがちです。
それはそれでおかしいことではないですし、そのぐらい自分自身や自分の思考プロセスに自信を持ってもらいたい、とも思います。

ただ、これがエスカレートして
「自分の考えていること『だけ』が正しい」
と思い込んでしまうと、視野が狭くなり他のどんな答えも否定することを始めてしまいます。

このように考えてしまう僕ら上司が、部下の報告を聴いても
「自分の考え(自分の出した答え)と同じかどうか?」
を基準に評価してしまうので、自分の考えと異なれば「ダメ出し」する可能性が高くなります。
ほんとに「ダメ」なのかどうか検証することなく、ダメ出しされた部下はやる気がなくなりますよね。

この手の「ダメ出し」が繰り返されると、部下はこう考えます。
「どんな答えを持っていっても、上司の答えと違っていたらダメ出しされるだけ」
「それなら、いっそ何も考えずに上司の考えを聴いてしまった方が早いし、ストレスもない」

こうして、いわゆる「指示待ち部下」が生まれている可能性、あるような気がします。

上司であっても、いや、上司であるからこそ自分の考え(= 答え、意見)を手放せないのです。
それは、その考えにこだわるだけの経験があるからです。
失敗経験に基づくことかもしれません。
または、成功体験に裏打ちされた自信かもしれません。
「こうすればこうなる」
という原因と結果の法則が染みついているのです。

部下の成長を促すために、上司ができること

では、僕たちはどうすれば良いのでしょうか?
どうしたら、部下の成長を促す上司になれるのでしょうか?

僕は、次の3つが鍵だと思っています。

1) 正解は1つではない、と自分に言い聞かせること
2) 答えの妥当性を「目的(または得たい成果)」に照らして評価すること
3) 「経験年数と能力は比例する」という考えを捨てること

1) 正解は1つではない、と自分に言い聞かせること

実は、これが一番簡単そうで難しいことだと思います。
先ほども書いたように、僕らは自分の考えが正しいという前提で発想するので、それ以外の考え(=答え)を退けてしまうからです。

それを避けるために、「正解は1つではない」と日々言い聞かせる必要があるのですが、言い聞かせたって
「とはいえ、私の考えの方が正しい」
とか
「でも、あの考え方は間違っている」
と言ってしまいそうです。

そこでお勧めしたいのが、
「部下の考え(答え)は『正しい』と捉えるところから始める」
という習慣です。

つまり、「まずは受けとめてください」ということです。
部下の考えが正しい、という前提で検証をスタートさせると、自然な流れとして
「なぜ正しいと言えるのか?」
というやりとりを部下と交わすことになるはずです。
さらに言えば、
「もっと良い答えがあるとしたら、どこをどう修正すれば良いか?」
と相互に考え始めるので、部下の考えを起点に前向きなコミュニケーションが深まることが期待できます。

ちなみに、部下の答えを「誤りである」という前提に立った時に出てくる問いは、
「この答えが正しくないと言える根拠は何か?」
を上司自身が考え、部下への反論・ダメ出しという形で言語化されることになります。
それを毎度聞かされる部下の身になってみると…
かなり辛いですよね。

2)答えの妥当性を「目的(または得たい成果)」に照らして評価すること

部下の考えを自分の考えと比較してしまうせいで、つい否定したくなりますが、これを避けるために
「目的や得たい成果」を基準に評価することをお勧めします。

もちろん、日々の業務でも部下の出した答えを目的に照らして評価しているだろうと思います。
ただ、知らず知らずのうちに、目的と比較しているはずが「上司である自分自身の考え」と比較しているのだろうと思います。
ですので、1)の正解は1つではない、という考えとの合わせ技で、部下の考えをいったん正解だと捉えた上で、目的に照らして妥当かどうかを判断する、という流れがいいのではないかと思います。

3)「経験年数と能力は比例する」という考えを捨てること
「経験がモノをいう」という考え方は、ある意味妥当だと思います。
ですが、「経験が邪魔をする」というのも、一面の真理だとも思います。

経験の長さと仕事の成果は、「必ずしも比例しない」という前提で、部下の考えを受けとめてみてください。
むしろ、経験が浅い分、固定観念に囚われない発想ができる可能性もあります。

事実、スポーツや芸術の世界では、新進気鋭の若手が大きな成果を残すことがありますよね。
ビジネスでも、同じことはいえるのではないかと思っています。

いかがですか?
部下の成長を阻害しているのが自分だった、という考え方は受け入れがたいかもしれませんが、一度ご自身が日ごろ部下とどのようなコミュニケーションを取っているかを振り返ることは、意味のあることだと信じています。

部下がパフォーマンスを高めることは、結果として僕ら上司の仕事がやりやすくなることに繋がるので、ぜひ一度そんな観点でご自身のコミュニケーションを見ていただくことをお勧めします。

2018年07月11日

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