ファシリテーターが会議でやってはいけないことは何か?
2017.09.12
ファシリテーターを任される人が誤解しがちなことがあります。
それは、
「自分の力で結論を出さなくては」
という強い気持ちを持ってしまうことです。
もちろん、こうした当事者意識はとても大事なのですが、それが度を超えてしまうと、
強引に議論を進めたり、出席者の意見に反論したりする可能性があります。
そこで、ファシリテーターを担当したときに思い出してほしい、2つの「しない」をご紹介します。
ファシリテーターが心がける2つの「しない」とは?
それは、
① 評価しない
② 誘導しない
ことです。
① 評価しない
出席者の発言で、
「これはいい意見だな」
と感じることがあっても、逆に
「それは違うでしょう」
と思うことがあっても、
「いいですねー」
とか
「それは違うんじゃないですかねえ」
などと評価を加えず、全ての意見を平等に受けとめましょう。
② 誘導しない
ファシリテーターとして会議に関わると、
「この議題の結論は、こんな感じだろうな」
とか、
「責任者の意向に沿って考えると、ここが落としどころだな」
などと、結論を見据えながら議論をサポートすることがあります。
結論を見据えることそのものは問題ありませんが、
時として
「結論に誘導する」
ようなファシリテーションを無意識に行ってしまう可能性があります。
「結論を出すのは、ファシリテーターであるあなたではなく、出席者である」
と認識し、
「出席者には結論を出す力がある」
と信じて、サポート役に徹するのが、ファシリテーターの理想の姿だといえます。
評価・誘導せずにファシリテーションを行うには?
とはいえ、誰かの意見を聴くことで無意識に「評価」したくなったり「意見」を言いたくなることもあるでしょう。
それを防ぐ方法が2つあります。
それは、
① 発言を受けとめること
② 質問すること
です。
① 発言を受けとめること
評価するというのは、誰かの意見に自分の考えを反映して良し悪しを決めている状態と言えます。
誰かの意見を受けて、次のような切り出し方をしている場合、「評価」モードで聴いている可能性があります。
評価しているときの応答例
「いいですね。」
「そうですよね。」
「おっしゃる通り。」
「というよりも…」
「でも…」
「いや、」
相手の発言を受けとめる方法とは?
では、発言を受けとめるにはどうすれば良いのでしょうか?
おススメの方法は、
「なるほど」
と反応することです。
「なるほど」というのは、
「あなたの考えは理解しました」
という意味なので、評価を加えず受けとめている状態といえます。
もう一歩踏み込んだ方法をご紹介すると、
「○○(対象)について□□(判断・意見・感情)だと言っているのですね」
と相手の発言を言い換える方法です。
言い換えというのは、相手の発言を理解していないとできないので、
受けとめの印象は「なるほど」より強まる効果があります。
② 質問すること
ファシリテーターの望む結論の報告に誘導しないためには、ファシリテーターが自分の意見を言うよりも「メンバーに質問すること」に意識を向ける方法がおススメです。
とはいえ、質問であればどんなものでも良いというわけではなく、
・ 相手の真意を引き出す
・ 相手の考えを具体化する
・ 相手の思考や判断を促す
ような質問が望ましいと言われています。
相手の真意を引き出す質問の例
「今の発言の意図を聞かせていただけますか?」
「A案が良いと考えられた理由を聴かせていただけますか?」
「そう考えるようになったきっかけを教えていただけますか?」
相手の考えを具体化する質問の例
「具体的に聴かせていただけますか?」
「具体例があれば教えていただけますか?」
「例えばどんなケースが考えられますか?」
相手の思考や判断を促す質問の例
「どうすれば良いとお考えですか?」
「どの案があなたの考えに近いですか?」
「他にどんな点を議論すると結論を出せそうですか?」
もちろん、意見ではなく質問で相手の思考を誘導することも可能ですが、
あくまでも相手の思考を深めたり進めたりするために質問するよう心掛けてください。
いかがでしたか?
当事者意識を持って会議のファシリテーションを行うことはとても大事な心がけですが、
「結論(答え)を出さなくてはいけない」
ではなく、
「どんな質問をすればメンバーの意見を引き出せるか?」
という点に当事者意識を発揮すると、創造性の高い会議になると思います。