問題解決に必要なマインドとは?問題解決力入門
2023.04.17
問題解決に必要だとしてよく語られるものに
「論理思考力」
「問題解決スキル」
「ファシリテーション」などがあります。
しかし、それ以上にマインドセットが重要だと当社では考えています。
そこで今回は、問題解決に必要な力について解説します。
問題解決に必要な力とは
問題解決に必要な力は、大きく3つに分けられます。
・マインドセット
・問題解決スキル
・デジタルスキル
そのうち、マインドセットは問題解決の土台をなすものです。
問題解決に欠かせない「OS」のような存在がマインドセット
問題解決を教える研修では、ロジカルシンキングや問題解決などが一般的に教えられています。
これらのスキルもとても大事なものですが、いわば「アプリ」のようなもの。
アプリはOSがないと動かすことができません。
そのOSのような存在にあたるのがマインド。
どんなに論理思考力がついたとしても、問題解決を行うための土台がなければ適切に活用することができません。
それでは、スキルを活かすための土台とはどんなことでしょうか。
スキルが活かせるマインドセットとは
問題解決力の土台を成すマインド、OSの部分とは、問題解決の場面で力を発揮する原動力で「変革を促し、やりきる力」と表現できるでしょう。
皆さんはノウハウが書かれたビジネス書を手にとったことがあるでしょうか。
「売り上げが上がる〇〇法」
「部下が伸びる〇〇術」
「成果が上がる〇〇」
キャッチ―な文言に誘われて、私も何度も手にとってきました。
しかし、役に立つことがあるのは、問題の本質に斬りこんで、勇気をもって自分自身が行動を起こしたときだけ。
本を読んだり、講義を受けたりすると「できる気がしてしまう」のですが、実際に成果が上がらないのはマインドセットができていないからなのです。
問題解決に必要なマインドの例
具体的には、問題解決に必要なマインドセットとはどのようなものでしょうか。
私たちは問題解決に必要なマインドを以下の6つと定義しています。
1.超目的志向
2.健全に疑う
3.強いコミットメント
4.周囲を巻き込む
5.逆境を乗り越える
6.前例に縛られない
これらが問題解決力のOS、すなわちスキルの土台になる部分だと考えています。
なぜなら問題解決をする人は「組織を変革する」役割を担うからです。
1.超目的志向
超目的志向とは、ある特定のタスクやプロジェクトの目的、その時点での目的だけでなく、組織全体、あるいは社会全体における目的や中長期的な視座に立ったうえでの目的にしたがって考え、動くことです。超目的は「メタビジョン」ともいわれます。
たとえば、従業員を大事にしようと健康経営に取り組む場合、健康経営そのものや認定を得ることが目的になってしまう「手段の目的化」が組織ではしばしば起こります。
問題解決する人には、手段の目的化を防ぎ、究極のところなんのためにするのか、ということに立ち返れるマインドが必要です。
2.健全に疑う
順調に物事が運んでいたり、ルーティーンになっていたりすると、組織内の人物は疑いもなく仕事をこなしてしまうことがあります。
しかし、その習慣、ルーティーンに組織変革を妨げる要因があることもしばしば。
「どうしてこの会議は毎週行われているのだろう」
「どうしてこの物品はここに配置されているのだろう」
「なぜこの人はこの道順でここに行くのだろう」
毎日目にする光景やなにげないルーティーンに対して、問いを発する人も多いのです。
もちろん、人間関係に溝ができるほど何でもかんでも疑えばよいのではありません。だからこそ「健全に疑う」のです。前向きに組織をより良くしようという姿勢で疑うことが「健全に疑う」ということです。
何気ない言動や状況も疑ってみることで、問題に気づき、改善できるチャンスが隠れています。
一見取るに足らないことでも、疑ってみること。これが問題解決には必要です。
3.強いコミットメント
「組織変革にコミットする!」というと、精神論・根性論かのように聞こえるかもしれません。私たちはコミットメントを「約束を守る」「責任を果たす」イメージで捉えています。
組織変革をしようとするとき、組織自体も取り組む人もいくつかの困難を経験します。思い描いたとおりに事が運ばなくてもやり遂げることが求められます。
たとえば数年間続いた新型コロナウイルス感染症流行の影響で原材料の仕入れが滞ったり、残念ながら複数の拠点を閉鎖しなければならないほど業績が悪化したりするような経験をした企業がたくさんあります。
予定していたことはできず、どんどん資金も乏しくなる現状に辟易しそうなものですが、そんなときにも組織の果たそうとする役割や目的に立ち返り、「これだけは絶対にやり切る」ということを決めて取り組んだ企業は生き残っているどころか、業績を伸ばしていることさえあるのです。
4.周囲を巻き込む
コミットすることができても、独力では問題解決ができません。
組織変革には、周囲の力が必要不可欠。納得してもらうという意味でも、また実際に手を動かしてもらうという意味でも力を借りなければなりません。
周囲の力を借り、同じ方向に進んでもらいたいと思うとき、周囲の人々の理解や納得感だけでなく「相手の関心を捉えて応答・対話すること」が必要です。
長年の取引先に対して一見不利益を伴う仕様変更を伝えなければならないとします。気難しいことで有名なA社の営業担当者が「A社の社長はなかなか納得しないだろうなぁ」とため息をついています。
そんなとき、問題解決にあたる人自身がこの営業担当者の苦悩に対して関心を払えるか、そして営業担当者の不安に応答できるかで協力体制は大きく異なります。
「こういうことで決まりましたのでお願いします」
と言われたら、営業担当者はムッとするかもしれませんし、非協力的な態度に出て事が運ばないおそれがあります。
一方で、日頃から営業担当者と情報交換ができており「A社の社長って難しいですよね。作戦会議しませんか?」と持ちかけられれば、営業担当者はきっと安心し、協力してくれることでしょう。
周囲を巻き込もうとすれば、周囲に対して日頃からケアをしておくことも必要です。
5.逆境を乗り越える
どんなに順調な組織でも、順調なプレイヤーでも、逆境はつきものです。
超目的志向で臨んでも、コミットしていても、いつかはトラブルや障壁に見舞われることでしょう。
組織変革を成し遂げようとすれば、現状を打破する力が欠かせません。
現状を打破し、逆境を乗り越えるにはどうすればよいでしょうか?
「気合で頑張る」「力を合わせて」
という声が聞こえてきそうですが、逆境を乗り越えた先のことも見据えておくのが問題解決する人の仕事。
パニック状態を鎮め、状況を整理し、リカバリープランを作り、協力を得ながら実行するうえで、粘り強さとともに冷静さも持ち合わせている必要があります。
6.前例に縛られない
問題解決する人の役割は「組織変革」とお伝えしているとおり、現状に甘んじていてはいけないことは皆さんにもご理解いただけたでしょう。そのためには、具体的な方策、風土についても「前例に縛られない」スタンスが求められます。
たとえば、定例の会議や業務の手順、役割分担などは、一旦慣習化してしまうと見直されることなく残り続けていることが多々あります。
「健全に疑う」ことができても、「こういうものだから」と諦めたり、抵抗勢力にあったりします。実際に行動に移すためにはそれが「変化させる対象」だと問題解決する人自身が理解し、周りを巻き込んでいく必要があります。
人はなかなか安定したことや慣習を変えられないもの。
あくまで「組織変革をする役割である」「問題解決のために必要なことをするんだ」と腹落ちしておくことで前例に縛られず行動できるのではないでしょうか。
問題解決力の土台はマインドから
今回は、問題解決に必要なマインド、問題解決するために身につけたい最も大事なことについてお伝えしました。
もちろん、思考パターンやネゴシエーションスキルなどの、具体的に手や頭を動かすときのスキルやツールを備えておくことも重要ですが、それらを有効に機能させるためOS、マインドセットが不可欠です。
組織の中にこのようなマインドを持った人物がいることで、持続的に組織を変革・成長させることができます。
あなたの組織には、問題解決に必要なマインドを備えた人物がいますか?
思い浮かぶ方はぜひ、その人物を旗振り役にして組織を成長させましょう。
すぐには思いつかないという方はぜひ、社内で育成しませんか?
詳しくお話を伺い、最適な計画をご提案します。