コラム

目的のないことは大嫌い!?―私がコンサルタントになった理由

2023.04.06

誰しもそれぞれ、その職に就いた経緯というものがあります。

子どもの頃から憧れていた仕事に就いた人、やむにやまれぬ事情でその仕事をしている人、なんとなく働きはじめた人―

今回は当社代表の私の自己開示も含めて、私がコンサルタントになった経緯や、コンサルタントとして働いている理由をお話しします。

最初からコンサルタントを目指したのではない

面接を受ける学生

私の新卒、社会人になる前に学生の身分で就職活動をしていたときを振り返りましょう。

学生で、なにも知らない私。
バブルという時代の追い風もあり、商社や広告など、魅力ある業界や仕事がたくさんあるように思えました。

ある先輩の言葉

周りも動き出す頃、自分なりに業界研究をし、先輩を訪ねて会社訪問をしたとき、先輩からかけられた言葉を今でも覚えています。

「本当にこの業界、この働き方でいいの?君の考え方は、ここでは危険かもしれない。」

当時は先輩の言葉の真意がわかりませんでした。

先輩はその企業で既に戦力になっており、周囲からの期待も受けて活躍しているようにみえました。
学生の頃からフランクだったその先輩に、遠慮もなくなんでも尋ね、自らの想いを語りました。
すると、先の言葉をかけられたのです。

実際に先輩の働く業界には縁がありませんでした。
その後も別の業界・企業の面接で
「君は世の中を知らない」
と手厳しいお言葉を頂戴しつつ、ある企業にたどり着きます。

外資系コンサルティングファームでの出会い

別の先輩が外資系コンサルティングファームで働いていることを知り、訪ねました。

その先輩は「うちは面接で本当に何を聞いても問題ないから」と言います。
その言葉を真に受けて、何でも質問しました。

特に当時の学生にとって、正直なところ「コンサルタント」という職が一番に想起されることは珍しかったと思います。
今でこそポピュラーになり、コンサルタントを目指して就職活動する学生もいるものですが、当時は少数派。本当にイメージできないこともあったので、働き方や成果、果ては給与のことまでたくさん質問しました。

何でも質問したのが良かったのか悪かったのかもはや検証する術を持っていませんが、縁がありその会社でコンサルタントとして働くことになりました。

現在は独立して活動をしていますが、必要なことであれば聞きにくいことも質問したり、時に進言したりするところは若い頃から変わっていないと思っています。

「それ、意味ないじゃん」の教えとまっすぐな仕事

上向きの矢印

コンサルタントとして働く中で体得してきたことのなかで、自分の中の土台になった考え方が「それって意味ないじゃん」の教えです。

・それをすること自体が目的になっている(手段の目的化)
・「手順書に書いてあるから」「なんとなく」でやり続けてしまう(思考停止)

これらは、「それって意味ないじゃん」と言われてしまう状態の例です。

「それって意味ないじゃん」を言い換えると、”WHY”を考えられていないということになります。
逆に、なぜ行うのか、なぜ必要なのか、目的は何か、なぜこうなっているのか、などを探究したうえで取り組むことには意味があるのです。

「それって意味ないじゃん」と言われた新人時代

新卒入社したコンサルティングファームは、外資系企業ということもあり、明確な目的からTo Doを組み立てていくスタイルでした。

会議で何らかの行動計画を出しても、惰性の部分は

「それって意味ないじゃん」

とバッサリ斬られます。

たとえばクライアント企業のルーティーンだからという理由で工程に組み込まれていることが、「それって意味ないじゃん」と言われて気づくことも多々ありました。

週1回の定例報告会、形ばかりの稟議、訓示をただ聞く時間…たしかに、別の方法で代替したところで、会社の業績には何ら影響を与えそうにないこともあるものです。

新人の頃は「それって意味ないじゃん」にそれなりに傷つくこともありましたが、この教えが私のコンサルティング観、仕事観に根づいています。

「意味のないことはしない」というと、単に効率化や利益の話かと思われるかもしれません。
しかし、重要なのはそこではありません。

“WHY”を突き詰めないまま進んでしまうことは、目的や本質から目を逸らしているのと同じ。肝心な問題解決からどんどん遠ざかっていくことになります。

目的から逸れるのか、目的を考えないのか

ところで、「目的や本質から目を逸らしている」とは、どちらでしょうか。

・だんだん目的を見失ってしまう
・あえて見ない(考えない)ようにしている

どちらかといえば「あえて見ないようにしている」人が多いように思えます。

誰しも、今ある立場や安定感、安心感を失いたくはありません。
組織にいると、さまざまなしがらみもあり、目をつぶっているほうが楽なこともあるでしょう。
目的をあえて見ない、考えない人に変わってもらうのは至難の業です。これについては別の機会に解説します。

思考停止の状態

目的を見失って「こなすだけ」の状態になっている場合、安定を守ることが目的になっている場合のいずれも、思考停止の状態にあります。

本来、仕事とはどんなものでも目的(誰かの困りごとを解決する、人を幸せにするなど)があって行うもの。
そこからどんどん外れて作る、こなすだけの状態になってしまえば、「もうそれで困る人はいなくなった」「もっと別のものをほしくなった」など、ニーズの変化に気づかなくなるだけでなく、生産しこなしたものが実は何も本質的には役立っていなかったという状況もわからなくなってしまうのです。

自分のしていることが、結果的に何の役にも立っていなかったら―
それって、とても残念ではないでしょうか。

問題解決とコンサルタント

半開きのPCとデスク

私はどうしても、自分のしていることと最終的な成果や長期的なメリットで考えたとき、「それって意味ないじゃん」と思えてしまうことは好きになれません。

もしも新卒の時点で当時の自身の希望が叶って別の仕事をしていたら、水が合わずえらい目に遭っていたかもしれません。

今なら、当時先輩から言われたことがなんとなく理解できます。

「君の考え方は、ここでは危険かもしれない。」

たしかに危険だったかもしれません。
目的に適わないことはしたくないし、目的に合わないことをしてしまえば、本質的な問題解決はできないし、いつまで経っても組織は変わらないし、誰も幸せにならないと考えているから。

私は、コンサルタントの仕事にはそんな面があると思っています。

コンサルタントの仕事は、問題解決をすること。
そのためには、折に触れて切り出しにくい質問をする必要も出てきますし、定番のルーティーンを疑うことも避けられません。

問題解決といえば、一つひとつのトラブルシューティングをイメージされるかもしれませんが、どちらかといえば「会社の永続性を高める」「利益を出し続ける」ことが重要です。

環境や生活だけでなく、会社もサステイナブルであることを求められる時代。
会社の中から問題解決ができることで、本来の目的からブレずに会社の使命を果たせるのではないでしょうか。

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