コラム

DXを推進するミラクルクエスチョンとは?問いの立て方と伝えるべきメッセージ

2023.02.24

DXを推し進めるためには、必要な問いがあります。

「どんなスキルが必要?」
「どんなツールが必要?」

実は、真に必要なのはまったく異なる観点です。

本稿では、DXを進めるために必要な問いの立て方や、経営者が発信するべきことについて解説します。
経営者の方やDX推進担当者、その他経営にかかわる方はぜひご一読ください。

DXありきで進めていないか

真剣な表情でパソコンに向かうビジネスパーソン

DXが進まないと考えるとき、「なぜ我が社のDXは進まないのか」と問うてしまってはいないでしょうか。

残念ながら、それではDXは成功しません。
DXという手段が目的化しており、「DXありき」になってしまっているから。

まずはDXがなぜ必要なのか、どの段階で必要になるのか考えてみましょう。

将来像を見つめ直す

前回の記事でお伝えしたとおり、DXはあくまで経営をさらに良くするためのひとつの手段です。
そのためには、組織の向かう未来がどのような状態なのか、何を目指すのかを明らかにしておかねばなりません。

なんとなく流行に乗ってDXと考えたものの、それ以上考えが深まらないという方は、別の観点、すなわち「自社がどのように今後存続していくか」「むこう〇年の見通しはどうか」と考えてみるとよいかもしれません。

問題解決の段階でDXについて触れる

将来設計を考える段になり、それを阻む問題が明らかになることがあります。

たとえば、

・計画を実行できる人が定年を迎える
・計画に必要な資金を調達しなければならない
・業務フローを変える必要がありそうだ

などの問題がある場合、DXは問題解決策のひとつになるかもしれません。

属人化した業務をデジタル化したり、業務フローを見直したりすることで新たなビジネスチャンスが生まれ、それによって増益が見込まれるのであれば、経営上の問題解決が一歩前進します。

あくまでDXは経営を安定・向上させるための手段であり、問題解決策であり、DXは万能薬ではないことに注意が必要です。

DXを加速させる問いとは

クエスチョンマークを持つ人

DXは経営を安定・向上させるための一手段だとすれば、経営者やDX担当者が立てるべき問いはどのようなものでしょうか?

「なぜDXが進まないのか?」という無限のループにはまらないためにも、確実に問題の根本に切り込むことが必要です。

「どうありたいか」「どうなりたいか」を問う

先に触れたように、組織の将来像を問い直すことでその手段としてDXを絡めるのが正しいやり方です。

したがって、究極のところは組織がどうありたいのか、この先どこに向かいたいのかを問い続けることが重要です。

抽象的な問いへの応答が難しければ少々具体的に、

・いつまでに
・何を
・どうするのか(どうなっていてほしいのか)

を洗い出してみましょう。

勘の良い方はお気づきかと思いますが、これらは経営計画そのものです。

経営計画を正しく立てる

ところが、この経営計画が適切に立てられている組織は思いの外少ないものです。
一旦組織の中に入ってしまえば、客観的な視点を失ってしまったり、人間関係の中でうまく動けず、考えていることがあっても発信できなかったりするからです。

従業員であれば発言できないこともやむを得ないかもしれません。
しかしながら、経営者ですら経営について能動的なメッセージを伝えられていないことがあるのです。

これでは、適切な経営計画が立てられなくなってしまいます。時間をかけて立案しても形骸化し、その場しのぎのIR情報や資金調達の根拠資料になってしまっていることもあります。
その場しのぎで計画を立ててしまうと、耳ざわりが良く、時流に乗った言葉を選びがち。
そこで「手段の目的化」が起こり、DXがドンと大きく中長期計画に掲げられていることもありますが、これではDXが推進されにくくなってしまいます。

それは、「変革を真剣に考えられていないから」です。

組織の変革と向き合う

"Time for change"と書かれた看板

経営計画とは本来、組織の方向性を示す大切なものです。
企業は社会の中に存在する以上、あらゆる変化を受けとめながら自身も変わり続ける必要があります。

その変化、変革について正面から向き合うことで経営が活性化し、組織自体が変化に強く、生き延びることができるのです。

変革が置き去りになっていないか

現在の商品・サービスが安定的に売れていても、VUCAの時代ではいつ潮目が変わるかわかりません。

「この商品は売れているから大丈夫です」

そのようにおっしゃる経営者も多いのですが、人々の暮らしも、企業の動きも日々変化しているもの。

遥か昔にローンチしたものを変えることなく売れている事例があるように思われても、

・使用方法
・意味合い
・販売方法
・訴求内容

など、時代にあわせて変化しているものです。
たまたまこれまで変わらずとも売れ続けてきたものがあるかもしれませんが、それはこの先ずっと変わらなくてもよい、という意味ではありません。

また、経営者が捉えきれていないだけで、組織内では常に小さな変化を積み重ねていることも忘れてはなりません。現場で行われている小さな変更に、経営の舵取りのヒントが隠れていることもおおいにあり得ます。

変化を恐れず、変革を進める方法

中からの小さな変化、そして社会的要請や世の中の変化があっても組織が健全に伸び続けていくためには、経営者自身が明確な意志を持ち、経営を推し進めることが必要です。

究極のところ、組織の方向を指し示す最終的な権限は経営者にあり、その方向性を指し示すことができなければ、従業員は道に迷ってしまいます。

人は本来、変わらなくてよいのならば変化したくないものです。同じことを続けるほうが楽であり、日本では特に雇用慣行の影響もあり、内からの変化が起きにくい構造があります。

外圧で変化をもたらせるのかといえば、そうとも限りません。制度の変更ややむを得ない事情で変わらざるを得ないときは「言われたことだけすればいいや」という発想になりがちです。

経営者自身がビジョンを示し、従業員が進むべき方向や判断基準がわかる状況にしておくことで、組織全体の変革が導かれます。

変革の担い手

ここまで頭では理解できても、「そうはいっても、誰が一体具体的なアクションを起こせるのか」と不安な方もいるかもしれません。

そのために、経営者の右腕を味方につける必要があります。
経営企画担当者など適任者がいるかもしれませんし、問題解決できる人物を新たに育成するのも一案です。

組織全体の問題や社会事情を汲み取り、経営者の意志を理解し、場合によっては経営者に進言することもでき、各部署で適切なアクションを起こすための計画を立てて実行、軌道修正できる人物がいることで、安心して任せられます。

それでも踏み出せないときのミラクルクエスチョンとは

ピンクの風船

なによりも、経営者自身の意思決定と表明が経営推進やDXの成功にとって重要です。
しかし、これまでそのようなことを発信してこず勇気が持てなかったり、言語化が難しかったりするかもしれません。

そんなときに思い浮かべていただきたいのが「ミラクルクエスチョン」です。

「どうありたいか」「どうなりたいか」が言葉にできなければ、たとえば次のように考えてみるのはいかがでしょうか。

・10年後、もしも自社が地域で一番有名な企業になっていたらそれはどんな状態?
・5年後、就職希望者が殺到しているとしたら、それはなぜ?
・国全体や地域全体が危機に見舞われたのに、自社だけ無事だった。それはなぜ?

経営者が、従業員が、社会が幸せである状態、あるいは不安ではない状態を想像してみてください。
そこにヒントがあるはずです。

できればそのことを、経営者の右腕となる存在とともに話し合ってみてください。
右腕が不在だとお考えの場合は、一度当社にご相談ください。人材育成に関して一緒に考えさせていただきます。

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